カワヨシノボリ or トウヨシノボリ
| カワヨシノボリ |
胸鰭軟条数18以下 |
| トウヨシノボリ |
胸鰭軟条数18以上 |
カワヨシノボリRhinogobius flumineus (Mizuno, 1960)は長野県北部・静岡県以西の本州・四国・九州に分布し、純淡水魚で主に上・中流域に生息します。
水流のやや強い場所に多く、静水の湖や都市部の池ではほぼ見られません。
トウヨシノボリRhinogobius kurodai (Tanaka, 1908)は北海道・本州・四国・九州に分布し、両側回遊と陸封の生活史を持ち、主に下流域に生息します。
水流のやや弱い場所に多く、静水の湖や都市部の池では独占的に見られることもあります。
どちらも広域分布する身近な魚で、同所的に生息することもあり、
「写真掲示板 過去記事」での投稿数が多い種類です。
何ヨシノボリかという質問はたいていこの両種です。
| 表現型 |
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| カワヨシノボリ | 1.富士型 |
| 2.赤石型 |
| 3.無斑型 |
| 4.斑紋型(2個体群を含む) |
| 5.壱岐佐賀型 |
| 6.不明型(天竜川・福井県・福江島) |
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| トウヨシノボリ | 1.湖沼型・橙色型・ビワトウ |
| 2.宍道湖型・黒色大型B |
| 3.房総型・偽橙色型 |
| 4.縞鰭型・池沼型・シマヒレヨシノボリ |
| 5.西九州型 |
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カワヨシノボリは5(+3)タイプ、トウヨシノボリは5タイプの表現型が知られています。
これらは形態による線引きが曖昧で、遺伝子系統と不一致する場合もあり、
更に交雑によって複雑化しているため、現在のところ表現型で分ける意味は低いと思われます。
そのため両種の表現型に関してここでは言及しません。
| 胸鰭軟条数 |
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| 日本産ヨシノボリ属(全19種類) | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 分布 |
| 1 | カワヨシノボリ | | | | | | | | | | 屋 久 島 以 北 |
| 2 | トウヨシノボリ | | | | | | | | | |
| 3 | ビワヨシノボリ(仮称) | | | | | | | | | |
| 4 | ウシヨシノボリ(トウカイヨシノボリ) | | | | | | | | | |
| 5 | ルリヨシノボリ | | | | | | | | | |
| 6 | オオヨシノボリ | | | | | | | | | |
| 7 | シマヨシノボリ(九州以北集団) | | | | | | | | | |
| 8 | クロヨシノボリ(屋久島以北集団) | | | | | | | | | |
| 9 | ゴクラクハゼ | | | | | | | | | | 両 |
| 10 | アオバラヨシノボリ(太平洋側集団) | | | | | | | | | | 琉 球 列 島 と 小 笠 原 諸 島 |
| 11 | アオバラヨシノボリ(東シナ海側集団) | | | | | | | | | |
| 12 | オガサワラヨシノボリ | | | | | | | | | |
| 13 | キバラヨシノボリ(奄美集団) | | | | | | | | | |
| 14 | キバラヨシノボリ(沖縄島集団) | | | | | | | | | |
| 15 | キバラヨシノボリ(八重山集団) | | | | | | | | | |
| 16 | アヤヨシノボリ | | | | | | | | | |
| 17 | ヒラヨシノボリ | | | | | | | | | |
| 18 | シマヨシノボリ(琉球列島集団) | | | | | | | | | |
| 19 | クロヨシノボリ(琉球列島集団) | | | | | | | | | |
カワヨシノボリ14〜18本 トウヨシノボリ18〜22本
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両種は非常に良く似ているため、しばしば誤同定されていますが、基本的には胸鰭軟条数を数えるだけで判別できます。
上表の一部はひらっちさんに情報を頂き、私の判断で作成しました(感謝)。
屋久島以北は9種類(両方に分布するゴクラクハゼを含む)だけとすれば、胸鰭軟条数14〜17本であればカワヨシノボリでほぼ間違いありません。
胸鰭軟条数は根元を数えます。水槽越しに数えるのは大変なため、手に取って数えるかデジカメで撮影します。
魚の正面から撮影すると数えやすく、19本を越した時点でカワヨシノボリではないと判断できます。
| 18本はグレーゾーン |
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胸鰭軟条数18本の場合は、多くの傾向的な特徴を参考に、総合的に判断する必要があります。
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ヨシノボリ属をより詳しく調べたい場合は容易ではありません。
19種類とその諸型は雌雄差が大きく、単純に38パターン以上の形態があり、
更に成育段階・婚姻色・環境要因・個体差・地域差・交雑などの影響が例外を生み、多様な形態を把握していないと同定は出来ません。
屋久島以北に分布する9種類は放流で全国的に散らばり、加えて国外産のヨシノボリ属が観賞魚店などで入手可能で、日本に放流されている可能性も否定できません。
同定が難しいから無難に「ヨシノボリ」とするのは、
川の環境悪化で絶えた種類や放流で新顔が入っても、その地域に本来どんなヨシノボリ属がいたかを知ることは出来ません。
そうなる前に彼らのことを、もっと知ろうとする必要はあるかもしれません。
参考・引用文献 ※不備がある場合は改めますのでお手数ですがご連絡ください。
□ 日本産魚類検索 全種の同定 第二版 中坊徹次編 東海大学出版会 2000.12.20
□ 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚 改定版 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編 監修 山と渓谷社 2001.8.25
□ 淡水魚 7号 財団法人淡水魚保護協会 1981.9.25
□ 質問掲示板 過去記事 トウヨシノボリ池沼型という呼称について
□ 日本生物地理学会会報 Vol.60 日本生物地理学会 2005.12.20
□ Oijen et al. (2011) On the Earliest Published Species of Rhinogobius. With a Redescription of Gobius brunneus Temminck and Schlegel, 1845. Journal of the National Taiwan Museum, 64(1): 1-17.
□ Suzuki et al. (2011) A new species of Rhinogobius Gill, 1859 (Teleostei: Gobiidae) from the Bonin Islands, Japan. Journal of Marine Science and Technology, 19(6): 693-701.
□ Ichthyol Research (2002) 49: 333-339
□ 決定版 日本のハゼ 瀬能宏/監修 鈴木寿之・渋川浩一・矢野維幾/著者 平凡社 2004.9.24
□ 鈴木寿之・向井貴彦・吉郷英範・大迫尚晴・鄭達壽 (2010) トウヨシノボリ縞鰭型の再定義と新標準和名の提唱 大阪市立自然史博物館研究報告 第64号, pp.1-14.
□ 吉郷英範 (2011) 分布域東限に生息するカワヨシノボリ(硬骨魚類網:スズキ目ハゼ科). 比和科学博物館研究報告, 52: 339-358, pl. 5
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